文書作成日:2025/01/28
人材確保の観点から、定年年齢などを見直す動きが見られます。先月、厚生労働省から公表された2024年の「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果(以下、「集計結果」という)では、定年制の状況と70歳までの就業確保措置(努力義務)に対応した企業の状況等を確認することができます。以下ではこの内容をとり上げます。
[1]定年制の状況
企業における定年制の状況については、65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は全体の32.6%(前年30.8%)となりました。これを年齢区分でみると以下のようになっています。前年からの変化としては、定年「60歳」の割合が減少し、「65歳」の割合が増加しています。
60歳 | 64.4%(前年66.4%) |
61〜64歳 | 2.9%(前年2.7%) |
65歳 | 25.2%(前年23.5%) |
66〜69歳 | 1.1%(前年1.1%) |
70歳以上 | 2.4%(前年2.3%) |
定年制の廃止 | 3.9%(変動なし) |
また、この内容を企業規模別にみてみると、65歳定年の割合は、中小企業では全体の25.7%、大企業では全体の18.9%となっています(下図参照 ※図はクリックで拡大されます)。なお、この集計では従業員21人〜300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。
[2]65歳以降の就業確保措置の実施状況
65歳以降の就業確保措置として、以下の1〜5のいずれかの措置を講ずることが企業の努力義務とされています。65歳までの雇用確保措置と異なり、雇用だけでなく、業務委託契約など直接雇用をしない形で、70歳まで就業できる機会を与えることも措置に含まれています。
今回の集計結果からは人手不足が深刻化する中、人材確保を図るため、定年年齢に引き上げなど、高齢者の活用を進めようとする企業の動きが進んでいることが分かります。少子化により若手労働者の採用が困難になっています。今後は高齢者の活用なくして、事業を円滑に進めることは難しい時代に突入していきますので、高齢者の雇用および処遇の仕組みを再整備すると共に、効果的な担当業務の設定などの議論を進めていきましょう。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。